ユーアイ市場で出店している、ギャラリー仲摩さんの「ギャラリー仲摩通信」をご紹介します。

コロナウイルス蔓延で、お花見禁止令が敷かれた春になってしましました。 オリンピックの延期、学校休校、商店休業、在宅勤務と日常生活がガラッと変わった日々ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。何をするにも命あってのこと、出来る限りの予防に努め、一日も早い終息を願っています。
在宅勤務になり、これまで遅れ遅れになっていたホームぺージのリニューアルに取り掛かりました。
ボーダーレスになった今日、海外からのお問い合わせが増えています。ホームページをご覧頂けば一目瞭然を目指し、苦手なPCと日々、格闘しています。ただ今、作成中ですので、もう少々お待ちください。
久しぶりに通信を発行しましたので、二月に開催した明治神宮での奉納展を主に、広報誌表紙を飾った多田美波先生の作品紹介、他をご紹介致します。在宅でのお時間にお楽しみいただければ幸いです。

展覧会報告 「鎮座百年祭奉祝 奉納展神宮の杜に集う彫刻家たち」

二月十四日から二月二十八迄、明治神宮廻廊にて日本人彫刻家三十一名の彫刻展が開催されました。

私共と越境する芸術プロジェクトの共同企画、明治神宮にご協力頂き、アドバイザーに建築家の隈研吾氏をお願いし、神宮の杜に集う彫刻家たち展実行委員会から明治神宮「鎮座百年祭奉祝 奉納展 神宮の杜に集う彫刻家たち」を奉納致しました。

別紙展覧会報告をご覧ください。
https://yuai-yokohama.com/wp-admin/post.php?post=605&action=edit

※月間石材三月号に「神宿る空間に並ぶ美しい石の彫刻たち」として掲載されました。ぜひ、ご覧ください。

広報誌Partner 4-5月号から

MUFGカード会員広報誌「Partner」四-五月号が届きました。

表紙には、見覚えのある多田美波先生の大作が掲載されていました。

「トーキョー、ラウンジストーリー」特集で老舗のホテルのラウンジが紹介され、帝国ホテルの顔として親しまれているランデブーラウンジ・バーの巨大なガラスブロックの多田美波先生の代表作『黎明』が載っています。

座席数二百席、日に千人近くが利用されるラウンジですが、『黎明』近くの席から埋まっていくのは、作品の求心力を物語っています。

高さ約八メートル、幅約二十五メートル、ガラスブロック約七千八百個を使用したというこの作品は、一九七〇年に制作され、一つでも欠けるとその部分を交換出来るよう作られています。美しいだけでなく、長年のメンテナンスを考えて作られた作者の偉大な仕事に心から敬意を表します。  多田美波先生は、こうした建築物と一体化した作品を生涯に渡り、五百以上も制作されました。

さらには、絵画、彫刻、デザインといずれも壮大なスケールの作品を制作され、ただただ驚嘆するばかりです。以前から最も観たかった河内長野市役所の作品を見る機会に恵まれました。市役所の正面上部に設置された「天祥」は一九八八年の作で、横幅十九メートル、高さ三メートルに及び、一枚の大きさが高さ三メートル、幅六十センチもある大きな陶板を蛇腹のように組み合わせて作られています。大きな陶板を正確に合わせて表現された微妙な色彩の美しいレリーフに魅了されました。

お酒ラベル  東日出夫漆壁面作品

二〇〇〇年、東京都大田区の指定介護老人福祉施設「ゴールデン鶴亀ホーム」の開設にあたり、鶴と亀を題材にしたステンドグラス制作のご依頼を承りました。完成作品を思い浮かべましたが、どうにもしっくりゆかず、漆作家、東日出夫先生の現代的な感性の漆の作品を提案し、金を基調にした鶴と亀、縁起の良い言葉が並ぶ壁面作品を納めさせて頂きました。

東日出夫漆壁面作品 2020年作 ゴールデン鶴亀ホームエントランス正面に設置

 横幅二メートル近い漆の大作は、玄関正面の壁面に飾られ、今日まで施設の顔として皆様に親しまれてきました。 

先にご紹介した、明治神宮奉納展「神宮の杜に集う彫刻家たち」に、施設長の籏野章様がお見えくださいました。「神宮の杜に集う彫刻家たち」展は、多くの方にご支援頂き、開催に至りました。ニュースでは、あまり報道されませんでしたが、昨年十月の台風十九号は郡山市に大きな被害をもたらしました。今もまだ大変な状況の中、郡山市の笹の川酒造㈱様、薄皮饅頭で知られる㈱柏屋様にご協賛頂いたことなど、展覧会にまつわるお話をしました。

折しも、「社会福祉法人白陽会 ゴールデン鶴亀ホーム」は、この四月に開設二十周年を迎えられ、記念のお祝い品を検討中でいらっしゃいました。 「社会福祉法人白陽会 ゴールデン鶴亀ホーム」の二十周年は、3.11東日本大震災と台風十九号で被災した福島県郡山市の復興支援の一助にと、所蔵作品の作者、東日出夫先生にラベルをデザインして頂いた純米吟醸酒「桃華」(笹の川酒造)と甘酒(仁井田本家、郡山)を記念品にされました

安積蒸溜所

笹の川酒造(創業明和二年、一七六五年)二百五十周年記念特別限定ウイスキーを作られた際、オリジナルボトル制作協力をさせて頂いたことから日本のウイスキーが世界的に高い評価を得ていることを知りました。ここにご紹介するのは、安積蒸留所(笹の川酒造)のウイスキー造りへの熱い想いを語った小冊子「風の蒸留所」です。とても興味深い最終ページを引用させて頂きます。

◆安積平野は古来一度も耕されたことのない原野でした。明治となり、県令・安場保和と典事・中條政恒は、この水の便に恵まれない地を開墾するために尽力しました。その中條の熱意ある説得により郡山の商人二十五人が事業に着手し、明治六年に「開成社」を興しました。明治十二年の記録に「創業六年一毛の収納なし」とあるほどの苦労は大正時代まで続きました。その努力の結果、二十五人は明治九年に天皇巡幸のおり拝謁を許されました。中條はその下検分に来た当時の内務卿・大久保利通に水路建設を進言、猪苗代湖からトンネルを掘って水路を作り安積原野へ水を導く計画が認められ、一八七九年(明治十二)、国家事業として正式に着工。オランダ人技師ファン・ドールンの監修のもと、近代土木技術が我が国で初めて疏水の設計に導入され、わずか五年という短期間で疏水は通水しました。その後、日本で二番目の水力発電所が建設されるなど、郡山はさらなる発展を遂げて現在に至ります。

東日出夫ラベルデザイン 純米吟醸酒「桃華」

 開成社創立二十五人の内の一人が現在の当主の曽祖父にあたります。未来の郡山の発展を夢見た開成社の創立者達。その夢は未来のためのウイスキー造りとして現在につながれています。開成社は明治十一年に「我々は見る事はないかもしれないが未来の子孫のために」と貯水池の土手に桜の木を植樹しました。その桜は現存する日本最古のソメイヨシノであることが判明しています。安積疏水は二〇一六年四月、『未来を築いた「一本の水路」~大久保利通“最期の夢”と開拓者の軌跡 郡山・猪苗代~』の名称で日本遺産に登録されました。

 ◆訃  報◆ ヤロスラヴァ・ブリフトヴァーさんが四月八日にご逝去されました。享年九十五歳。故、リベンスキー氏と共に、ガラス芸術に生涯を捧げられた偉業を湛え、心よりご冥福をお祈り申し上げます。   

【編集後記】  
二〇〇二年に明治神宮でスタニスラフ・リベンスキー&ヤロスラヴァ・ブリフトヴァーガラス彫刻展奉納からあっという間に十八年の歳月が流れました。当時、ご協力いただいた日本チェコ友好協会名誉会長の大鷹節子さんの曽祖父、一戸(いちのへ)兵衛(ひょうえ)様が明治神宮二代目宮司でいらしたこと、笹の川酒造当主の山口哲蔵さんの曽祖父様が明治天皇に拝謁されたのを知ったのは、明治神宮国際神道文化研究所、今泉宜子主任研究員との会話からでした。先程、今泉さんと本誌校正中にチェコからの訃報を受けました。